パレスチナ難民支援

(ブルジバラジネ難民キャンプ(レバノン国内))

1948年のイスラエル建国に伴って故郷を負われ、パレスチナから周辺諸国に逃れた70万の人々は、70年近い年月を経て今、500万人に膨れ上がり、世界で最も大きな難民グループになっています。「いつかは故郷へ帰る」という切望は果たせないまま、難民キャンプで厳しい生活を強いられています。

レバノンのパレスチナ難民支援

レバノンに逃れたパレスチナ難民は、特に過酷な生活を強いられてきました。
難民として貧困や差別に苦しむだけでなく、市民権を持てないため教育や保健へのアクセスもなく、パスポートも持てず、就労や財産所有の制限もあります。レバノン内戦の時には何度も戦火を経験し、大勢が犠牲になりました。国連は「難民が故郷に帰る権利」をうたっていますが、故郷に帰ることもできず、レバノンに帰化することもできず、また第三国に移住することも難しい状態の中で生きています。

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活動概要

期間1986年~(実施中)
地域レバノン(国内パレスチナ難民キャンプ)

私たちは、レバノン内戦の時期、同国内のパレスチナ難民キャンプで虐殺事件や飢餓状態が起きたことをきっかけに、1986年から支援活動を始めました。
難民キャンプに暮らす子どもたちが、希望を持って生きる力をつけていけるよう、心理面、教育面、健康面と多岐にわたるサポートを行っています。
2012年からは、シリアから避難してきたシリア人、パレスチナ人の子どもたちも一緒に支援しています。

教育支援と心理サポート

幼児教育の強化

幼児教育の強化

子どもの成長過程において幼児期の教育はとても大切です。難民キャンプの中では安全な遊び場や学びを提供できる場所が非常に限られます。
幼稚園の受入れ枠を拡大し、専門の訓練を受けていない保育士の能力強化を行っています。

補習クラスの開講

補習クラスの開講

難民の子どもたちは国連の学校で、レバノンの国定教科書を使い勉強しています。レバノンでは小学校1年生から英語の授業も本格的に始まり、4年生からは算数や理科も英語の教科書になります。そのため多くの子どもが授業についていけず、小学校で2割、中学校で3割が「落ちこぼれ」るといわれています。
また学校が足りないため、学校は午前・午後の二交代制で、十分な授業時間や一人一人への対応まで行う余裕がありません。
一人でも多くの子どもたちが義務教育を無事に終了し、自尊心を持って成長し、進学もできるように、小学校1~3年生のための補習クラスを実施しています。

学童クラブと心理サポート

過酷な生活環境や体験から、大きなトラウマを抱え心を閉ざしてしまう子どももいます。また発達が十分でなかったり、特別な支援を必要とする子どもがたくさんいます。
学童クラブでは学習だけでなく、様々なワークショップやイベント、スポーツなどを通じて、ストレスの緩和や子ども同士のコミュニケーションの促進・社会性の育成などを行っています。

保健・医療支援

難民キャンプでは医療も大きな問題です。難民はレバノンの公的な医療サービスを受けられず、健康保険も無く、国連の医療サービスは量・質ともに十分とはいえないからです。

子ども歯科

子ども歯科

歯の健康は身体の成長や健康にも大きく影響します。余裕のない生活の中で後回しにされがちになる歯科支援を、1991年から現地のNGO「子どもの家」と一緒に行っています。
活動開始当初は診療車がキャンプを巡回し、治療を行っていました。現在は6つのキャンプ内に診療所を設けて治療を行う他、幼稚園での歯科検診や歯の健康教育、歯磨き指導など予防教育にも取り組んでいます。毎年各キャンプで約1,000人の幼児、数百人の母親や学童が検診や治療のサービスを受け、虫歯は最初の10年で半減しました。

外部のコントロール下に置かれた難民キャンプで、歯の健康という"自分でコントロールできる事"を持ち、自分で自分の体と生活を管理する意識を持ってもらうことも、子ども歯科の目的の一つです。

精神科・カウンセリングの実施

深刻なトラウマに苦しむ子どもたちに、児童精神科の専門医と臨床心理士の専門的な治療とソーシャルワーカーによるアフターケアを行っています。

現地レポート

補習と心理サポート [サラーム No.93 2012.8.25] (PDF 0.78MB)
レバノンの難民キャンプでは6割の子どもが幼稚園に通うようになり、補習クラスに通う95%の子どもが進級できるようになりました。子どもセンターでは精神科医・臨床心理士が「復元力とメンタルヘルス」の研究も行っています。
レバノンの難民キャンプにおける補習クラスと心理サポートの報告 (PDF 0.52MB)
補習クラスと心理サポートの様子を写真でお伝えします。
難民キャンプの教育問題と補習クラス [サラーム No.85 2010.2.13] (PDF 4.45MB)
補習クラスの指導員は同じキャンプの住人です。勉強を教えながら教育・家庭の問題に向き合う3人の指導員に話を聞きました。
レバノン補習クラス [サラーム No.83 2009.7.11] (PDF 3.01MB)
日本から専門家を派遣し、ソーシャルワーカーや補習クラスの教師の研修が行われました。
ナハルエルバレド難民キャンプと子どもセンター [サラーム No.83 2009.7.11] (PDF 2.42MB)
子どもセンターの修復が完了。新たなセンターでスタッフも前向きな気持ちを取り戻しています。
子どもセンター活動再開! [サラーム No.81 2008.10] (PDF 1.36MB)
子どもセンターが戦闘で破壊されて1年後、ようやく活動が再開しました。
廃墟の中から未来を考える [サラーム No.78 2008.1] (PDF 4.21MB)
現地のNGO「子どもの家」代表:カッセム・アイナさんと、臨床心理士:ジャックリーン・サバさんが来日し、戦闘で破壊されたナハルエルバレド難民キャンプと子どもたちの様子を聞かせてくれました。
現場からの短信 歯科支援も続いています [サラーム No.98 2013.11.16] (PDF 0.66MB)
日本の歯科医師・歯科衛生士が現地に赴き、幼稚園職員向け虫歯予防のワークショップを行いました。