2011年にチュニジアから始まったアラブ諸国の民主化運動、いわゆる「アラブの春」はシリアにも波及しました。シリアで起きた市民のデモは深刻な内戦へと発展し、泥沼化した状態となりました。2016年初めには国内人口の約半数におよぶ700万人近くが避難を余儀なくされ、国外に逃れた難民は500万人に上っています。

シリア難民の概況

(UNHCRデータ 2016年6月現在)

●「シリア内戦の4年間を振り返る」(末近浩太 立命館大学教授講演録2015年7月)を読む(PDF1.98MB)

「二重難民」となったパレスチナ難民

シリア難民の中には、シリアで生活していたパレスチナ難民が含まれています。かつてパレスチナの故郷を追われ、今またシリアの戦火を逃れたパレスチナの人々は、"二重難民"となっています。パレスチナ人はUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の保護下に置かれず、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の管轄下となるため、UNHCRで支援されるシリア人とは扱いが異なり、滞在許可が取れない、緊急支援が少ないなど、更なる苦境に立たされています。家族が離散するケースも多く発生しています。
また、国連の調査によると、シリアからレバノンに逃れたパレスチナ難民世帯の45%が1日1回しか食事を摂れておらず、91%の子どもが1日に必要な最低限の栄養を摂取できていません。

母子家庭の困窮

母子家庭の多くは、以下のような理由から困窮しています。

- 女性の就労機会は非常に限定的(特に幼少児がいる場合は困難)。
- 専門職などを除くと女性の就労に偏見がある。
- 女性が再婚して子供を養う事への偏見が強い。
- 男性中心社会のため、住居探しなど様々な交渉で女性が不利になるケースが多い。
- 女性は外に出ないのが良いとされ、知り合いがほとんどいない場合、有益な情報へのアクセスが難しい。特に"未亡人"は、最低3ヵ月の服喪が求められ、支援情報・機会などを逃しやすい。

支援は、母子家庭、小さい子どもや障がい者を抱える世帯を優先的に行っています。