保健医療支援


保健医療支援の概要(ガザ)
期間 2015年〜
場所 パレスチナ・ガザ
現在の支援活動
イスラエルの封鎖下にあり医療や医薬品が常に不足してるガザ地区。戦争で傷を負った障害者のケア、妊娠出産を迎えた母親と子供の支援、乳がんの早期発見や術後ケアを行なっています。


期間 2015年〜
場所 パレスチナ・ガザ
現在の支援活動
イスラエルの封鎖下にあり医療や医薬品が常に不足してるガザ地区。戦争で傷を負った障害者のケア、妊娠出産を迎えた母親と子供の支援、乳がんの早期発見や術後ケアを行なっています。
障がい者
戦争の爆撃で負傷した怪我の治療を
事故や先天性の原因で障がいを持つ子どものケア

国連によると、2014年の戦争負傷者11,000人のうち3,374人は子どもでした。その多くは爆撃や砲撃に巻き込まれて怪我をしていますが、不発弾などの二次的な被害も少なくありません。当時、病院は混乱した状況で病床や物資が不足していたために、子どもたちの多くは十分な治療を受けることができないまま退院せざるを得ませんでした。
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障がい者のリハリビケア
特に大きな被害を受けた地域で、負傷した子どもに適切な医療サービスを継続し、在宅でリハビリを提供することで、生活の質の向上につながっています。医師、理学療法士、看護師からなるチームが家庭訪問し、必要な治療や理学療法士による「運動機能の回復のための指導」「保護者や家族へのアドバイス」のサービスを提供しました。2016年からはガザ中部や南部に拡大。2018年からは、事故や先天性の原因で障がいを持つ子ども、大人たちへの支援、施設でリハビリを行う通所型のリハビリ支援も開始しました。
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人材育成
理学療法士研修を通じた人材育成、患者・障がい者家族への研修やワークショップを実施。医療機関、家庭、地域で障がい者を支える環境づくりを行いました。
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職業訓練や就職指導
障がいのある人たちに、職業訓練や就職指導を提供し、就労したり、ビジネスを始めた人もいます。雇用者や一般市民の啓発活動を通じて社会参加を促進、スポーツイベントも実施しています。
母子保健
1歳児以下の75%が栄養失調状態
妊婦と乳幼児に保健支援

ガザでは毎年5万人以上の新生児が誕生している一方で、妊婦の42%は貧血、18%は栄養失調を抱えており、貧血による死亡率が上昇しています。また1歳児以下の75%が栄養失調状態と言われ、乳幼児24万人が栄養サポートを必要としています。就学前児童では貧血率が31%と高く、食料不足は人口の68.5%に達し、栄養バランスの良い食事を摂取している子どもは14%しかいません。また、寄生虫やビタミンの欠乏も多く見られます。
新型コロナウイルスのロックダウンによりクリニックの閉鎖や移動制限がある期間は、無料のホットライン相談を実施。住民への働きかけを強めるための活動も行っています。
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産前検診・出産した女性と新生児への産後ケア
乳幼児健診の実施、栄養失調の子どもたちに補助食品や栄養剤の提供
女性と子どもにカウンセリングを実施。重度の場合は専門機関へ紹介
栄養や子育てに関する講習会開催
看護師や助産師研修開催。また地元の女性を母子保健推進員、ピアエデュケーターとして育成
乳がん
乳がんを早期発見し未然に防ぐ
術後も女性が安心して生活できる支援

ガザでは、女性の死亡率の第一位が乳がんです。5年後の生存率は40%以下(日本70%以上、イスラエル60%以上)です。正しい知識がないために、いたずらに恐怖を抱いたり、患者への偏見があったり、手術や抗がん剤治療への理解がないため離婚されたり、うつ状態になる女性がたくさんいます。またガザの中では抗がん剤治療や手術はできますが、放射線治療ができないため、ステージ4 の死亡率は7割近いと言われます。
こうした状況を変えるため、乳がんの早期発見と啓発、患者さんたちの支援を2016 年春から続け、以下のような活動を行っています。
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講習会
ガザの各地で、乳がんを正しく理解し、自分で早期発見するための講習会や家庭ミーティングを開催。
知識の拡散
ラジオで番組放送。テレビ広告のビデオ制作放映。またガザでも多くの人が使っている携帯電話のショートメッセージ(SMS)送付。パンフレットや小冊子作成及び配布。
検査を受けるための費用援助
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治療中や術後支援
乳がん治療中の女性たちに、治療費の一部補助、ソーシャルワーカーによる訪問、患者さん同士の交流、夫など家族の支援、ガザでは受けられない放射線治療をイスラエルで受けるための交通費補助、手術後の補正ブラジャー支援、治療中のウィッグ支援などを行っています。
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イベント活動
世界的な乳がんの日にあわせて、患者さん、医療関係者、NGO などが参加するイベントを開催しました。この事業は、「国連人口計画」と当会が中心になり、ブレイジ難民キャンプのそばにある「女性保健センター」など、ガザの医療 NGO、病院、患者グループなどと連携した事業です。
今後も、ガザの中の多くの医療機関との連携を強めて、疑いのある場合に精密検査をできるだけ早く受けられるようにする、各医療機関で患者さんのデータが共有できるようにする、などを進める予定です。 -
●乳がんの早期発見と患者と家族支援
ガザの女性がおかれている現状と活動内容をご紹介いたします。
女性保健センター所長フェリアルさん、現在支援を受けているサミイラさんとソマイヤさんにお話を伺うことができました。 -
●ハヤさん(40 代)
乳がんだと診断されたのは2015年12月です。違和感があり大きな病院に行きました。そこでは乳腺線維症と診断されましたが不安は消えず、女性保健センター(WHC)に来たのです。検査の結果乳がんと分かり、1週間後には治療が始まりました。本当に落ち込んだのは最初の1週間で、その後は夫とWHCに通い始め、治療や薬、栄養、またカウンセリングを受けるようになりました。WHCは検診費用、薬やビタミン剤なども提供してくれます。
治療で一番つらかったのは化学療法でした。治療そのものと副作用で髪を失い、身体的にも精神的にも大変でした。また病院での待ち時間やシステムも大きな負担となりました。
ショックを乗り越え受け入れられるようになったのはWHCによるサポートが一番大きかったです。コーディネーター、担当医、他のスタッフも皆精神的に支えてくれました。最初はショックを受けていた夫もいまでは支えてくれていますが、私がショックを乗り越えるのに必要な99%はWHCからもらい、1%は夫と子どもたちからもらったと思います。 -
●サウサンさん(50 代)
乳がんが見つかったのは2004年で、授乳していた時におかしいと思ったからです。乳がんだと診断されて乳房の切除手術を行いました。その日、夫から「もうお前は女性でも妻でもない」と離婚を告げられ、私と6人の子どもを置いて出ていってしまいました。その後は一人で子どもたちを育てながら闘病を続けました。生活は知人や社会手当や寄付に頼って生活しています。最近結婚した長男が運転手をしながら何とか家族を支えてくれます。娘の一人も結婚しました。
2010年には良性腫瘍が見つかった子宮を取り除き、2014年には脳腫瘍も摘出しています。これまでにかかった治療費や病院への交通費は近所の人に借りてきたため、返済しなければならないお金もたまっています。WHCには経済的な支援や治療面だけでなく、子育ての相談もしてきました。乳がんになっても他の母親たちと違わないこと、子どもたちにどう接するかを教えてくれました。
一番悲しかったのは夫が去ったことです。しかし子どもたちに囲まれて生活し、彼らも母親に愛情や思いやりを持って成長してくれたことはとても幸せでした。また、WHCのリクリエーション、イベントなど、他の患者と交流できる集まりに参加することをとても楽しみにしています。
積極的な啓発活動
患者さんに寄り添う
女性たちの声 ~女性保健センターで支援をしている人たち~
保健医療支援の概要(レバノン)
期間 1991年〜
場所 レバノン
現在の活動
公的な医療サービスを受けられないレバノンでは、余裕のない生活の中で後回しにされがちになる歯科支援と、戦争の深刻なトラウマに苦しむ子どもたちに、治療とアフターケアを行っています。


期間 1991年〜
場所 レバノン
現在の活動
公的な医療サービスを受けられないレバノンでは、余裕のない生活の中で後回しにされがちになる歯科支援と、戦争の深刻なトラウマに苦しむ子どもたちに、治療とアフターケアを行っています。
子ども歯科
身体の成長や健康に大きく影響する歯の健康を守る
余裕のない生活の子どもたちに歯科支援
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歯科検診や治療
活動開始当初は診療車がキャンプを巡回し、治療を行っていました。現在は6つのキャンプ内に診療所を設けて治療を行う他、幼稚園での歯科検診や歯の健康教育、歯磨き指導など予防教育にも取り組んでいます。毎年各キャンプで約3,000人以上の幼児、数百人の母親や学童が検診や治療のサービスを受け、虫歯は最初の10年で半減しました。1991年から現地のNGO「子どもの家」と一緒に行っています。
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ホットライン支援
ホットラインでは、住民から新型コロナウイルス関連の相談や疑問に医師やフィールドワーカーが対応しています。
心理支援
戦争の深刻なトラウマに苦しむ子どもたちを救う
児童精神科の専門医による治療とフォローアップ
レバノンは、2000年ごろまで内戦やイスラエルとの戦争状態が続き、現在もなお政治的に不安定です。特に70年以上不安定な難民生活を送ってきたパレスチナ難民と、内戦から逃れて来たシリア難民は、戦争と難民生活によるトラウマ、貧困と将来が見えない不安を抱え、最近の経済状態悪化による家族関係の悪化など、多くの人が心理的なサポートを必要としています。精神科医師、臨床心理士などの専門家の診療、またソーシャルワーカーたちによる家庭訪問や相談など、日々人々に寄り添った活動を行っています。
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心理サポートとリハビリ
200人以上の死者と30万人の避難者を生んだ爆発事故。特に事故現場に近い地域にいた人たちの多くが負傷し、四肢の切断や失明など深刻な障がいを抱えました。こうした人たちに対しては、理学療法士や作業療法士などによるリハビリ支援をするとともに、事故と障がいを負ったショックやトラウマ、PTSDに苦しむ人たちに対して、心理士たちがサポートを行い、障がいの受容や家族関係の改善などを進めました。