SDGsへの取り組み
難民の命をつなぐ
レバノンでは、全人口の36%が貧困状態ですが、特にパレスチナ人シリア難民については90%が極度の貧困状態にあります。 ガザでは、人口の約80%が貧困ライン以下で、国連や国際社会の支援に頼らざるを得ない状況です。
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山間部や各地の難民キャンプに暮らす住民に、食料や燃料を配布してきましたが、経済危機により、燃料の確保が難しくなっています。困窮している人々が少しでも体力をつけるために食糧配布を継続します。
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人々の暮らしは封鎖や貧困、空爆により追い詰められています。2021年5月のガザ空爆後、障がい者のいる家庭や、収入がほとんどない女性世帯主の家庭を中心に、食料や必要物資を支給しました。
*国際貧困ライン(1日1.9米ドル以下)の生活 *2021年2月現在
出典:OCHA Lebanon Emergency Response Plan 2021 - 2022 (August 2021)・HUMANITARIAN
PROGRAMME CYCLE 2021(DECEMBER 2020)
栄養不良の妊婦や子どもをゼロにするために
レバノンやガザでは、難民の80〜90%の人が食糧危機に瀕しており、子どもたちの発達や成長に悪影響が出ています。 2022年のウクライナ危機は、小麦の輸入をウクライナに依存するレバノンやパレスチナの食料不足につながっています。
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家で満足な食事が取れない子どもたちに、幼稚園や補習授業時に給食や軽食を提供しています。COVID-19感染予防で遠隔授業になることもあり、給食の提供ができない時期には、食料配布を行っています。
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妊婦の42%が貧血、18%が栄養失調を抱えており、貧血による死亡率が上昇しています。また、1歳児以下の75%が栄養失調状態と言われ、栄養サポートを必要としています。
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経済危機の影響で、現地通貨価値が下落、食料価格高騰により1日1食の食事も確保できない家族が増加しています。特に困窮している家族へ食料配布を行っています。
*国際貧困ライン(1日1.9米ドル以下)の生活 *2021年2月現在
出典:OCHA Lebanon Emergency Response Plan 2021 - 2022 (August 2021)・HUMANITARIAN
PROGRAMME CYCLE 2021(DECEMBER 2020)
いつでも適切な治療を
封鎖されたガザでは、度重なる空爆の影響もあり、常に医薬品や医療施設が不足、放射線治療など高度医療の施設がありません。レバノンでは医療費が高額なため、難民は治療や手術は断念せざるを得ない状況です。
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戦争被害の他、事故による負傷や先天性の障がいを抱える子どもや若者を中心に、訪問や通所によるリハビリ支援をしています。同時に心理サポートや家族への支援も行っています。
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妊産婦の42%が貧血、18%が栄養失調で、1歳児以下の75%が栄養失調状態と言われています。
専門医による診察、医薬品の提供、保護者向けのワークショップなどを実施しています。 -
戦争や貧困でトラウマや不安を抱える子ども、女性、障がい者へ専門医による診療の他、レクリエーション活動、母親支援、人材育成、居場所提供などの心理サポートを実施しています。
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女性の死亡率第一位は乳がんです。正しい知識がなかったり、偏見や差別を恐れて発見が遅れるケースも見受けられます。検査や治療の費用補助、心理サポート、理学療法士への研修なども行っています。
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6つの難民キャンプ内にある診察所で、定期検診や歯科治療を行なっています。
また、幼稚園では歯磨き指導や栄養指導などの予防教育を実施しています。
すべての子どもに公平で質の高い教育を
パレスチナ自治政府やUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の資金不足や、貧困、COVID-19感染予防など様々な要因により、教育の質の向上や公平性を保つことが困難な状況にあります。
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パレスチナでは子どもが人口の半数を占めています。自治政府は財政難で教育予算が限られており、小学校理科室修復、実験道具提供、理科教員研修、児童中心型教育推進などを進めています。
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難民の子どもたちが、ドロップアウトにより将来のチャンスを失わないように、小学校1~3 年生向けの補習授業のサポートや遠足、イベントの開催、指導員向け研修を実施しています。
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中東では幼稚園は小学校になる前に読み書きを習得する場所という認識があります。幼稚園での遊びや豊かな経験を通じて難民の子どもたちが成長できるよう、支援を続けています。
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幼稚園から中学生までの聴覚障がいを持つ子どもたちが、手話をはじめとする言語を通して学んでいます。図画工作、演劇、コンピューター、図書室活動、課外活動など、多くの体験を通じて、社会参加への道を開きます。
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児童館では、厳しい環境で暮らす子どもたちが、自分たちでルールを作り、リーダーとなって活動することで、自信をもって成長することができます。また母親向けに育児や生活に役立つワークショップなども実施しています。
すべての女性の可能性を広げるために
世界経済フォーラムによる「ジェンダー・ギャップ指数2021」(2021年3月発表)で、レバノンは156カ国中132位でした。男性も女性も社会的に平等であるため仕事も家事も子育ての分担できるように、ワークショップや広報活動、男性や家族向けの勉強会やカウンセリングなど、さまざまな活動を行っています。
障がい者、女性、難民、すべての働きたい人に技術と仕事を
難民の多くは正当な賃金が支払われる仕事に就けず、日雇い労働などで生計を立ててきました。しかし、COVID-19や政治情勢、経済の悪化など、様々な要因により、働きたくても働けないという状況におかれています。
すべての人が能力を高め、取り残されないように
難民、障がい者、ベドウィン(遊牧民)などは、少数派として差別や迫害を受けています。例えば、ほとんどの難民は、市民権がなく、就業制限がかけられるなど、人権侵害や差別を受けています。
取り残される人がないように
戦争や貧困に苦しむパレスチナ難民の現状を講演会、会報誌などで伝えています。外務省、NGO、現地法人と協力し、取り残される人がいないように支援活動を行なっています。