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心理的なサポート

心理的なサポート 心理的なサポート

戦争や災害に遭遇すると、恐怖体験に加えて、家族を失ったり、自身が傷ついたり、家や財産を失い、故郷や国を追われ、異郷での避難生活を強いられたりします。難民の多くは何十年も不安定な生活を強いられ、元の生活を取り戻す希望を持つことができないために、多くの人たちがストレスやトラウマを抱え、それが長期化します。

パレスチナ難民は70年以上、三世代以上が難民キャンプで暮らしていますが、その多くが市民権もなく、容易に差別や迫害の対象になります。シリア難民もすでに10年以上不安定な生活を送っています。例えばガザのパレスチナ人は、15年以上封鎖された空間に閉じ込められ、12年間に4回の爆撃を経験しています。こうした中で、多くの子どもも大人も心身に問題を抱え、2021年末の段階で35万人の子どもが心理社会的サポートを必要にしている国連は報告しています。

私たちは心理面に限定せず多様な角度からの支援をする「心理社会的なサポート活動」を通じて、一人一人の心理支援に加えて、コミュニティ全体に対しても働きかけを行い、様々な問題解決を目指しています。

心理的なサポートの概要(ガザ)

期間 2021年6月〜8月
場所 ガザ

現在の支援活動
空爆直後のガザで心のケアを必要とする子どもや家族のカウンセリング、ストレス緩和ワークショップや、妊産婦、子どもと母親、障がい者、乳がん患者などの心理サポートを行なっています。

心理的なサポート
心理的なサポート

期間 2021年6月〜8月
場所 ガザ

現在の支援活動
空爆直後のガザで心のケアを必要とする子どもや家族のカウンセリング、ストレス緩和ワークショップや、妊産婦、子どもと母親、障がい者、乳がん患者などの心理ケアを行なっています。

心理支援

戦争で心に傷を負い、ストレスやトラウマを抱える
子どもたちの心理サポート

心理的なサポート

ガザ市内にあるアトファルナろう学校では、今回の空爆のような緊急事態に備え、常日ごろから対策チームを設置し、準備をしています。 特に、必要な情報が届きにくい聴覚障がい者のいる家庭へ、どうやって情報を届けたらよいか話し合いを重ねていました。 今回の空爆の際もSNSなどを通じた情報発信、また電話などで子どもやご家族の状況の聞き取り調査、必要に応じて心理サポートを行いました。

  • グループや個別カウンセリング

    アトファルナろう学校で、ストレスやトラウマを抱える子どもたちにグループでの活動を10回開催。 約300人の子どもたちが参加しました。また、同時に社会心理士による個別カウンセリングを必要としている 子どもたちにカウンセリングを10日間提供しました。

    心理的なサポート
  • ストレス緩和ワークショップ

    停戦から時間が経っても、子どもたちの頭の中からなかなか戦争や空爆の記憶が離れません。 怖くて、外出できない、暗闇が怖い、夜眠れない、話さない、夜尿など複数の症状を出している子どもたちがたくさんいます。
    絵を描いたり、工作、風船ゲーム、椅子取りゲームやかくれんぼなど、 楽しいことをしてエネルギーを解放するワークショップを開催しています。 自分の感情を解放する場を作ったり、呼吸法を教えて、怒りや負の感情をコントロールすることも教えています。

    心理的なサポート
  • 障がい者の心理サポート
    就職意見交換会や啓発イベント開催

    地元企業の雇用主と障がい者が障がいや就労について意見を交換する場を設けました。パレスチナの「障がい者法」を認識し、利用可能なサービスを紹介しています。
    社会参加への啓発イベントとして、スポーツ交流イベントや講演会などを開催。実際に、就労や社会参加している障がい者のロールモデルやキャリアパス、経験を聞くことで、就労へのモチベーションを高めることを目的としています。

    心理的なサポート
  • 乳がん治療中の女性の心理サポート
    治療中や術後支援

    乳がん治療中の女性たちに、治療費の補助、ソーシャルワーカーによる訪問、患者さん同士の交流、家族の支援、ガザでは受けられない放射線治療をイスラエルで受けるための交通費補助、手術後の補正ブラジャー支援、治療中のウィッグ支援などの他に心理サポートを行っています。
    「乳がん」への差別や偏見から、患者の女性たちはトラウマを抱えているので、専門家やソーシャルワーカーによるサポートの他、患者さん同士の支えあいが重要です。

    心理的なサポート
  • 妊産婦、子どもと母親の心理サポート

    妊娠や出産、育児の不安は多くの女性に共通するものですが、とりわけガザでは、軍事封鎖、物資不足、電力や医療サービスの不足、失業と貧困、家族関係の悪化など、女性たちは大きなストレスに直面しています。特に新型コロナウイルスの感染拡大以降、妊産婦や子育て中の女性の不安が増大しています。また国連によるとガザでは36万人以上の子どもが心理サポートを必要としているといわれます。心理士、看護師、保健師などがこうした女性や子どもへの支援を行ったり、専門機関へ紹介しています。

    心理的なサポート
  • 母子の心理サポートや
    ワークショップを開催

    子どもたちの一番身近に居る大人を支援することで子どもの精神的な環境改善をめざし、同時に、コミュニティーが自分たちで問題解決できる力をつけるための活動です。
    ソーシャルワーカーが社会サービスの乏しい難民キャンプや村を巡回し、以下の活動を行いました。

    その他の支援
  • トラウマを抱えた幼児・母親のカウンセリング

    幼稚園を中心とする先生のワークショップ:幼児教育の基礎、日常的な問題への対処法、など。

    母親のワーショップ:子どもの理解、ストレスへの対処法、グループ討論、など。

    自助サポート体制の醸成

  • 母親からは育児の悩みだけでなく、嫁ぎ先での人間関係や生活習慣の違いによる問題も多く語られ、村という地域性の中で一人で悩むしかない母親たちの状況も見えてきました。自殺未遂に至る深刻なケースもあったため、ワークショップの後には30分程度の個別相談の時間を設けて、1対1、もしくはグループで話を聞いて助言を行いました。
    参加者からは、「子供や夫との関係が改善した」「他のお母さんたちと話ができるようになった」、「友達ができた」などの声があがりました。

心理的なサポートの概要(レバノン)

期間 2020年6月~
場所 レバノン

現在の活動
難民生活による健康上のリスクが高まっており、新型コロナウイルス(COVID-19)感染対策支援や、爆発事故の被災支援を中心に、難民キャンプの子供たちの心理サポートを行なっています。

心理的なサポート
心理的なサポート

期間 2020年6月~
場所 レバノン

現在の活動
難民生活による健康上のリスクが高まっており、新型コロナウイルス(COVID-19)感染対策支援や、爆発事故の被災支援を中心に、難民キャンプの子供たちの心理ケアを行なっています。

心理支援

2020年8月ベイルート港大爆発事故
爆発で負った精神的ショックの心理サポート

心理的なサポート

2020年8月にベイルート港で発生した大規模な爆発事故は、死者約200人、負傷者6,500人超にのぼる大きな人的被害をもたらしました。また、市内の広範囲で建物が損壊し、最大30万人が家を失って知人宅や公共施設等への避難を余儀なくされました。
とりわけ大きな被害を受けたベイルートの中心部では、約1,000世帯の障がい者家庭が被災し、爆発で負った怪我や疾患によって、新たに100人以上が障がい者になったと推計されています。
深刻な経済危機および新型コロナウイルス感染拡大の渦中で起きたこの爆発事故は、もともと経済的に困窮している障がい者家庭の暮らしを直撃し、被災した障がい者の多くが経済的理由で必要なサービスおよび物資にアクセスできていません。また、今回の事故で被災した障がい者に対して、政府による公的な支援(医療支援および生計支援)は一切行われておらず、人々はNGO等による支援に頼らざるおえないのが現状です。

  • 心理サポートとリハビリ

    200人以上の死者と30万人の避難者を生んだ爆発事故。特に事故現場に近い地域にいた人たちの多くが負傷し、四肢の切断や失明など深刻な障がいを抱えました。こうした人たちに対しては、理学療法士や作業療法士などによるリハビリ支援をするとともに、事故と障がいを負ったショックやトラウマ、PTSDに苦しむ人たちに対して、心理士たちがサポートを行い、障がいの受容や家族関係の改善などを進めました。

    心理的なサポート

    爆発で左目を失明したシリア難民の少女。リハビリで遠近を理解する

  • 児童精神科の専門医による治療とアフターケア

    家族を失ったり難民となったトラウマの他、精神疾患や発達障がい、自閉症を抱えたり、家庭内暴力や性的虐待を受けている子どもたちもいます。児童精神科医や臨床心理士、スピーチセラピストなどによる診療活動を長期的に行っています。

    心理的なサポート

学童心理

難民キャンプに暮らす子どもたちが
閉鎖的な環境でも安心して生活できるように

心理的なサポート

パレスチナ難民は70年以上、シリア難民も10年以上、不安定で先行きが見えず、市民権もない生活をしています。難民の多くが慢性疾患を抱え、同時に心理的な問題を抱えています。レバノンでは国連もメンタルヘルスにはほとんど取り組めておらず、健康保険を持たない難民たちは、民間の医療機関にかかることができません。そのため、メンタルヘルスのサービスを受けることが非常に難しい状況にいます。

  • 学童クラブと心理サポート

    過酷な生活環境や体験から、大きなトラウマを抱え、心を閉ざしてしまう子どももいます。また発達が十分でなかったり、特別な支援を必要とする子どもがたくさんいます。
    学童クラブでは学習だけでなく、様々なワークショップやイベント、スポーツなどを通じて、ストレスの緩和や子ども同士のコミュニケーションの促進・社会性の育成などを行っています。
    また、家庭内暴力やメンタルヘルスの悪化を未然に防ぐため、ワークショップや研修を実施し、コミュニティで相互に助け合う活動もスタートさせました。

    心理的なサポート
  • 新型コロナウイルス(COVID-19)
    感染対策支援の心理サポート

    衛生環境が劣悪で狭い住居の難民キャンプでは、慢性疾患の人も多く、新型コロナウイルスの感染と死亡の割合が高いことが指摘され、人々は不安にさいなまれていました。また職を失った家庭も多く、ロックダウンで学校も閉鎖されるなど、狭い家の中に閉じ込められた家族関係の悪化も深刻です。ソーシャルワーカーやボランティアがホットラインで対応したり、家庭訪問をしながら、メンタルヘルスや家族関係の改善に取り組んでいます。

    心理的なサポート

支援活動のレポート

  • ヨルダン川西岸 心理サポートの現場から

    [サラーム No.88 2010.11.20] (PDF 4.03MB)

    ワークショップでは、村の女性たちが抱える深刻な問題が見えてきます。

  • 心理サポート(ラマッラー地区)

    [サラーム No.81 2008.10] (PDF 1.91MB)

    ジェニンからラマッラ―に場所を移した活動現場では、新たな母親たちの声が聞こえてきました。

  • ジェニンでの心のケア事業5年間を振り返って(ジェニン地区)

    [サラーム No.80 2008.7] (PDF 2.52MB)

    5年間にわたりジェニンで行った活動で見えたこと、母親たちの声を伝えます。

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