国連事務総長、西岸併合への重大な憂慮を表明

2020年

事務総長「イスラエルが西岸併合の決定をしないことを望む」(2020年6月24日、AP)

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、火曜日に、イスラエルが世界各国の声を聞き、何十年にもわたるイスラエル・パレスチナ紛争の二国間解決を台無しにしてしまう西岸併合を推し進めないことを望んでいると表明した。

事務総長はAP通信とのインタビューの中で、国連が「併合は国際法に違反するだけでなく、地域の不安定化を招く主要な要因となる」というメッセージを出し続けて来たと語った。また、水曜日の朝にあるハイレベルでの国連安保理会議の前に、イスラエルが米国トランプ大統領の中東和平案に沿って西岸の30%を併合しようと計画している問題が間違いなく主要議題になると話した。

この会議では、グテーレス事務総長が、アラブ連盟のAhmed Aboul Gheit事務局長とNickolay Mladenov国連中東地域特別調整官からの概要説明の前に発言することになっている。今月議長を務めるフランスは、パレスチナ外務大臣とイスラエル国連大使のほか、6か国の外務大臣が参加する見通しだと述べている。

イスラエルは1967年の中東戦争でヨルダンから西岸地区を奪い、多くの入植地を建設し、今や約50万人のイスラエル人が住んでいるが、国際社会の強い反対により正式にイスラエルの領土としたことはなかった。

パレスチナは、幅広い国際的な支持を得て、西岸を将来の独立国家の中心地域として考えている。また国際社会の大半が、イスラエルの西岸入植を国際法上違法と考えている。

トランプ政権は、これまでの政権よりもはるかにイスラエルの入植活動に対し寛容である。しかし11月のトランプ大統領の再選見通しが不確実となってきたことから、イスラエル強硬派は、ネタニヤフ首相に早く併合を進めるように強く促して来た。新たなイスラエル連立政権の協定には、ネタニヤフ首相が7月1日に始まる新政権で併合を提案することを公式に認める条項も含まれている。

そのような一方的な動きは、実現可能な独立国家建設というパレスチナ人の希望を打ち砕くも同然で、パレスチナ人、アラブ諸国、そして世界の大半の国が激しく反対している。

グテーレス事務総長は、「併合は、私が必要と信ずること、すなわちイスラエル人とパレスチナ人が共に平和に暮らし、互いを尊重し、互いの安全を保障するという二国間での解決を台無しにしてしまう」と語った。

更に、「私だけではなく、世界中に響き渡る、この理性の声をイスラエル政権が聞き、7月1日に併合が実現しないことを願っている」と語った。