ベイルート港爆発から2年、倉庫倒壊の危険も

2022年

2020年8月4日に発生したベイルート港大規模爆発事故から2年になりました。

200人以上が死亡、6000人以上が負傷をした事故は、ずさんな管理体制によって放置されていた2750トンの硝酸アンモニウムが何らかの原因で引火したことで起こりました。責任の所在はいまだに明確にされないまま、2年たった現在も街のいたるところに爆発の爪痕が見られ、多くの人々の心身状態に影響を残しています。

最近、爆発地点の隣の穀物貯蔵庫で火災が発生し、大きな被害を受けたこの倉庫が倒壊の危機にあることが分かりました。

レバノン保健省と環境省は、貯蔵庫が倒壊した場合、事故以降放置されていた腐敗した穀物や瓦礫が飛散し、港から半径1500mの範囲に影響を及ぼすと警告しました。この範囲にはオフィスビルや飲食店、住宅が多くあります。特に500m圏内は粉塵の影響が大きいため、貯蔵庫が倒壊した際には直ちに避難する必要があるそうですが、この地区には飲食店のほか、貧困地区があり、他に行くあてがないためその場にとどまる家族がいることも考えられます。

2020年の爆発事故によって30万人以上が避難したといわれるなか、さらに多くの人が厳しい状況に直面しそうです。

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2022年6月時点の穀物倉庫(駐在員撮影)
爆心地の隣にあった穀物貯蔵庫は、爆発の影響を大きく受けたが、手つかずのまま残されている。 
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近づくと、建物の一部がえぐられていて今にも崩れそうだ(駐在員撮影)